たまにファモチジンが処方になった患者で腎機能的には量が多いかなあと思ったり、ファモチジンを飲んでいる患者にファモチジンの注射オーダが入って内服のほうを休薬にしなくては、ということがあります。やさぐれているときなど「別に胃薬だしちょっとくらい多くても良いんじゃない...?」と思うことがあるのですが、ファモチジンを過量投与することでどんなリスクがあるのでしょうか。
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◆腎機能による用量調節
ファモチジンは主に腎より未変化体のまま排泄されるため、腎機能障害患者では血中濃度が高値で持続する。
血中消失半減期は2.6時間程度
腎機能障害がある場合は半減期が有意に延長し20時間を超えることもある。
→そのため腎機能に応じて用量調節が必要となる。

◆高齢者では加齢により生理機能が低下しており、腎障害患者と同様に排泄が遅延傾向にあると考えられている。

生じうるリスク
血液障害(汎血球減少、再生不良性貧血、血小板減少)
精神神経障害(精神錯乱、幻覚症状、痙攣、せん妄)
筋肉痛、脱力感、横紋筋融解症、QT延長、間質性肺炎
など

◆症例
長崎大学医学部麻酔学教室
「末期癌患者のせん妄にファモチジンの関与が示唆された症例」
ファモチジンは抗コリン作用により高齢者においてせん妄を発生させることが報告されている。
腎機能障害の出現した高齢末期癌患者のせん妄においてはファモチジンを原因薬剤のひとつとして考慮する必要がある。

白鷺病院薬剤科 TDM研究 17(2) : 133-134, 2000
「Famotidineの蓄積による汎血球減少が疑われた2透析症例」
透析患者におけるfamotidineの投与に際し、蓄積による中毒性の副作用が起こる可能性があるため、投与量の適正化及び定期的な血球数測定を行うことが必要と考えられた。

光風会三光病院精神科 臨床精神医学 29(12): 1617-1623, 2000.
「Famotidineにより抑うつとせん妄を呈した1症例」
Famotidineによる精神症状は、基礎疾患のある高齢者に出現しやすく、その状態はいわゆる痴呆状態に類似している。Famotidineを高齢者に投与する際には、特に注意深い経過観察が必要であると思われた。

鳥取赤十字病院薬剤部
「ファモチジン中止で振戦の軽減した1例」
ファモチジンによる薬剤性パーキンソニズムの報告は少ないが、被疑薬の1つとして考えるべき。

◆まとめ
・高齢者や腎機能障害のある患者では、通常の投与量であっても精神神経症状などの副作用をきたすことがある。
・注射薬と内服薬が重複投与された場合には、過量投与により重大な副作用が発現する可能性がある。
・ファモチジンは血中濃度と薬理効果、また副作用も相関すると考えられるため、血中濃度を管理することにより適切な薬物療法を行うことが可能となる。