☆ 投与間隔 / t1/2 ≦ 3 → t1/2 × 5(時間)連続投与 → 定常状態
kkkk
くすりを連続投与した場合、血中から無くならないうちに再投与をすると血中濃度は徐々に上がっていく。

くすりの消失は通常は一時速度過程をとり体内薬物量に比例して出ていくため、やがてくすりが身体に入ってくる量と出ていく量が等しくなる。
→これを定常状態という。

Ritschel理論
「投与間隔がt1/2の3倍以内であれば、t1/2の5倍の時間にわたって連続投与すると薬物血中濃度は定常状態に達する」

つまり...
くすりの投与間隔/消失半減期≦3のとき
定常状態到達時間(tss)=消失半減期×5(時間)


〇〇錠 1日3回8時間毎
t1/2が8時間×1/3 = 2.7時間以上
であれば血中濃度は薬が投与されるたびに上昇し、定常状態に達する。

くすりが薬効を現す目安は定常状態に達したとき。
tss=t1/2 × 5 であるため
半減期が仮に8時間とすると、薬効が発揮されるのは定常状態となる8×5=40時間後となる。

定常状態がある薬は定常状態に達するまで確実に効果が得られない場合が多いため、tssを推測しそれをふまえた服薬指導をする必要がある。

ちなみに薬が血中から消失する時間もt1/2の4~5倍程度と考えてよい。
(有効血中濃度の1/10以下になればほとんどの薬物の効果はなくなると考えられているため)

◆定常状態が無いくすりの場合

投与間隔/消失半減期≧4の場合には蓄積されないため、ずっと初回投与時と同様の血中濃度推移を示す。
→体内における蓄積を必要としないため初回投与時から薬効を示す。


△△錠 1日3回8時間毎
t1/2が8時間×1/4 = 2時間以下
であれば血中濃度は何回投与しても同様のパターンを示す。
蓄積による定常状態が無いため最初の投与から薬効を示す。

◆身近な薬で算出してみた
・ロキソニン 1回1錠 1日3回
t1/2=約1.25時間
投与間隔を8時間毎とすると8時間×1/4 = 2時間以下であるため定常状態がない。

・セレコックス 1回1錠1日2回
t1/2=約7時間
投与間隔12時間とすると7時間×1/3 = 2.3時間以上であるため定常状態がある。
tss=7 × 5 → 35時間

・コカール錠200mg 1回2錠 1日4回
t1/2=2.76時間
投与間隔6時間とすると6時間×1/3 = 2時間以上であるため定常状態がある。
tss=2.76 × 5 → 13.8時間

・アムロジピン5mg 1回1錠 1日1回
t1/2=約36時間
投与間隔24時間:24時間×1/3 = 8時間以上であるため定常状態がある。
tss=36 × 5 → 165時間(約7日)

・プリンペラン 1回1錠 1日3回
t1/2=約4.7時間
投与間隔8時間とすると8時間×1/3 = 2.67時間以上であるため定常状態がある。
tss=4.7 × 5 → 23.5時間(約1日)

◆参考文献
薬物動態を推理する55Question
添付文書がちゃんと読める薬物動態学