「医師は主に主作用をターゲットにし、薬剤師は副作用に重きを置く」

なんかSOAP上手く書けないなあと思っていたときにamazonでベストセラー1位になっているのをみつけてすかさずポチッた一冊。読み終わってさすがベストセラー1位であるなあと実感。SOAPの書き方だけではなく、薬剤師としてどうあるべきかについて再考することができ、非常に有意義だったのでまとめも兼ねて紹介します。

まとめ・感想

chap. 1 薬歴とは
chap. 2 SOAPがうまく書けない理由

◆SOAPとは


S:主観的情報
O:客観的情報
A:評価
P:計画
は誤訳です。忘れてください。


と書かれてありいきなり衝撃を受けました。
海外の概念を日本語で一言では言い表せないとのこと。

本書曰くSOAPを日本語で表現すると

S:主訴(患者の訴えなど)
O:所見(薬剤師からみた患者の情報など)
→患者側の情報
A:SやOから考えたこと(Pの根拠、薬剤師の考え)
P:Aに基づき実行した服薬指導など(薬剤師の行動)
 服薬指導(Ep)、疑義照会(Cp)、今後の計画(Op)
→薬剤師側の情報


となるとのこと。具体的なSOAPの記載例やSOAPを利用した思考法(SOAP思考)の解説が細かくされており、今までとりあえずOに服薬指導内容をずらずら書いたり、Pは特に計画とか思い浮かばないからいいやと書かなかったり、Sに何を書けばいいかわからず悩んだ結果特に意味のない雑談を書いたりとなんとなくでSOAPを書いていましたが、この概念を知るだけでかなり自信をもってSOAPが書けるようになってきています。なんとなくで書いていた過去のSOAPは恥ずかしいからすべて消し去りたい。

そして、SOAPが書けるようになってきただけではなく、次章を読んで薬剤師としての在り方、考え方も学ぶことができました。

chap. 3 薬学を通して患者を理解する
◆医師と違う視点を常にもつ


「どんな薬にも、目的とする作用(主作用)と好ましくない作用(副作用)が存在します。副作用のない薬なんて存在しません。だから、薬剤師は医師と協働できるのです。つまり、視点の違いです。医師は主に主作用をターゲットにし、薬剤師は副作用に重きを置くのです。」

「医薬分業は薬のダブルチェックではありません。医師と薬剤師という、立場や方法を変えて薬をみるクロスチェックなのです」

「副作用の判別ができないようでは副作用の早期発見、早期対応の担い手にはなれませんし、それは医師だけではなく、薬剤師にも期待されている役割なのです」

やさぐれているときなど、病棟で持参薬を確認して薬の配薬をするだけなら薬剤師でなくてもいいんじゃないか、、、自分の存在意義はあるのだろうか、、、と思うことがたまにあったのですが、本書を読んでもっとやるべきことはあるし、もっともっと学ばなければならないことがたくさんあるなあ、大学時代に学んだ薬理学や薬物動態の知識はもっと活用、さらに深く学んで薬剤師として精進すべきであるなあと感じました。「薬剤師は副作用に重きを置くべき」というのは言われてみるとその通りですが、今までどうしても主作用のほうに注目が行って副作用についてはあまり詳しく考えることができていなかったため、この言葉を知ることができただけでも薬剤師としての視野・今後の展望が広がった気がしています。

chap.4 高齢者の薬学的管理
高齢者の高血圧治療、糖尿病治療、漢方治療などに対する薬学的管理について。純粋に知らないことが多く勉強になりました。

というようになんかSOAPの書き方がよくわからない、ちゃんと書けるようになりたいって人はもちろん、自分のように薬剤師として何をすればいいかわからず路頭に迷いがちな人にも、薬局薬剤師にも病院薬剤師にも全ての人におすすめできるとても良い本でした。

誰も教えてくれなかった実践薬歴